【簡単解説】版下って何?ソフト別 版下データの作り方あり
自分のオリジナルグッズを初めて作る人の多くは「版下(はんした)とは?」と、疑問を抱くことが多いそうです。
DTPが普及し、今では版下という言葉を使う機会が減りました。しかし、版下もグッズのデザイン作成になくてはならない大事なもの。最近はパソコンを使えば自分でも簡単に作ることができます。そんな版下はいったいどんなもので、どういう流れでできるのかご説明します。
目次
版下とは
版下は「はんした」と読み、印刷する時に製版を行うための元になる原稿のことです。これを基にすれば、同じデザインのものを大量に製作することができます。『版画の下絵』と言うと、イメージしやすいでしょうか。
シルクスクリーン印刷の流れ
① 版下づくり
まず、デザインを考えます。版の関係上、なるべくシンプルなものがおすすめです。
② 版づくり
- 考えたデザイン通りに、版に必要な穴を残します(描画材で版下を基に版をなぞり、インクを流したい穴をいったん埋める)
- スクリーンの目を埋める乳剤で他の部分を完全に穴埋めします
- 洗油で描画材の部分のみを溶かすと必要な穴だけが残ります
③ 印刷
あとは、刷りたいもの(Tシャツなど)の上に作った版を乗せ、その上にインクを乗せて、スキージーというヘラで刷ります。
これで生地(対象)にインクが落ちて、シルクスクリーン印刷は完了です。版は一度作れば何回も使えるので、同じものをいくつでも印刷することができます。
ソフト別 版下データの作りかた
版下データの作り方〜illustrator(イラストレーター)の場合〜
『illustrator』は、デジタルデータの版下を作成することが可能なアプリです。『illustrator』の得意分野は、ロゴ作成やレイアウトです。特徴は、『ベクトル画像(拡大してもボヤけない画像)』を作れることです。
それでは、作成する際の4つの手順を説明します。
① 初期設定をする
まず、『Adobe illustrator(アドビ イラストレーター)』を開き、『ファイル』>『新規』で立ち上げます。この時、『サイズ設定』は、ねらう仕上がりサイズより上下左右3mm以上大きくしましょう。
※端まで印刷がない場合には大きくする必要はありません。また、カラーモードを『CMYKモード』にします。
② ガイドラインを入れる
裁断サイズをガイドラインとして表示させましょう。(さらにその内側3mmほどに、文字をこれ以上はみ出さないようにという意味でのガイドラインを引くと、文字が切れないという意味でより安心です)
③ デザインする
『パス』や『文字』には、『線(色、太さ、破線、矢印など)』や『面(色、グラデーションなど)』を設定できます。オブジェクトを見やすくするために、『ウインドウ』>『◯◯(『変形』『整列』『文字』など)』を使うと良いですね。
もちろん、画像も入れることができます。(『埋め込み』が楽でオススメです。)
④ 保存する
保存前には、「RGBオブジェクトがないか」「リンクされた画像がないか」などチェックをすると良いでしょう。
版下データの作り方〜『Photoshop(フォトショップ)』の場合〜
『Photoshop』もデジタルデータの版下作成として使えるアプリです。『Photoshop』の得意分野は、写真加工、合成(コラと呼ばれるもの)、イラストや描画です。『ビットマップ画像(無数の点を集めた画像)』を作るのが得意なアプリです。
版下作成の手順を4つに分けて説明します。(実は、やるべきことは『illustrator』とほとんど同じです。)
① 初期設定を行う
- 『メニュー』を開き、『ファイル』から『新規』を選択。
- 『幅の高さの値』に上下左右3mmずつプラス
- カラーなら、『CMYKモード』に。
- 解像度は350dpi以上(製作サイズにもよります)に。
② ガイドラインを作成する
仕上がりの位置にガイドを引く。
《手順》
メニューから『ビュー』→『新規ガイド』を選択。『垂直方向』を選択後、位置は「3mm」と入力し、『OK』をクリック。この要領で『水平方向』『垂直方向』などの指示を入れながら、周り『3mm』を残す形でガイドラインを入れる。
③ デザインする
文字を打ったり、画像を入れたりと、自分がデザインしたいようにデザインしましょう。
ここで注意しなければならないのが、レイヤーを統合(画像化)させることです。統合しないと、印刷の際にズレたりして、修復が難しいトラブルの原因となることもあります。
④ ファイルの保存をする
Photoshop形式(psdファイル)で保存
まとめ
版下(はんした)があれば、版を作ることができます。つまり、質の高い『版下』があれば、質の高い『版』となります。
以前は、白くやや厚めのケント紙やアート紙などの台紙に出力した図版や写植文字やロゴなど部品を張り込んで作っていました。現在では、手作業(アナログのもの)ではなくパソコンで作業する方法(デジタルのもの)が主流となっています。
そして、ポスター、年賀状、折パンフレット、ステッカー、シール、チケット、回数券、封筒、CDジャケットなどの様々なネットDTP商品で、この版下が使われています。一見難しいように思えるオリジナルのデザインによる版下づくりも、ネット環境の充実により、自分でできる時代。
ネットで『シルクスクリーン』に必要な用具を揃えてアナログでやるのもよし。『illustrator』や『Photoshop』などのアプリを用いて版下データを作成して業者と連携し、ものづくりをするもよし。
『シルクスクリーン』で作れば、手間暇かける分、味のある感じが出て、愛着が湧くかもしれません。パソコンで行う今の時代に質の高いシルクスクリーン印刷ができれば、それもまた貴重な存在になるかも!?
『illustrator』と『Photoshop』は、目的に合わせて使い分けをするのが賢いやり方です。
そして、さらに上級者は、この2つを組み合わせて使います。(実は、両方ともAdobe社が開発したアプリなので、連携がしやすくなっているのです。)
皆さんも、自分で考えたデザインを世に送り出し、ものづくりを通して人生に彩りや豊かさを加えてみてはいかがでしょうか?
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2019.02.08
更新:2020.12.17